胃や十二指腸の内側の壁が傷つけられ、粘膜の下までえぐられた状態を潰瘍といいます。潰瘍のできる場所により胃潰瘍、十二指腸潰瘍と別々の病名がついていますが、総称して消化性潰瘍とも呼ばれています。
胃は、強い酸(塩酸)と消化酵素(ペプシン)を分泌して食べ物を消化していますが、胃壁は粘液で強い酸から守られています。さまざまな原因により、胃液と粘液のバランスがくずれ、胃壁を守る機能が低下すると、潰瘍が生じます。
軽いものは内面の粘膜に傷ができた状態で、びらん(ただれ)といいますが、ひどくなると内壁深くまで潰瘍が達し、時には胃壁に穴があくこともあります。
胃潰瘍は、慢性化すると胃がんになる危険性があるので、医師の指導に従って治療を続けましょう。
潰瘍は、急性潰瘍と慢性潰瘍の2つに分類されます。
●急性潰瘍
症状は比較的軽く、出血しやすいことが特徴です。
強い精神的ストレスが加わったり、内服した薬物が原因で急激に発症することがあります。軽い症状とはいっても、まれには急激に進行して胃壁に穴があくこともあるので注意が必要です。
●慢性潰瘍
潰瘍の数は1つか2つと少ないのですが、傷が深いため、治るのに時間がかかります。
治癒と再発を繰り返すので根気よく治療を続けることが大切です。
胃潰瘍の症状で多くみられるのは腹痛で、みぞおちあたりに痛みを感じます。食後に痛み出し、胸やけ、げっぷ、嘔吐、吐き気、食欲不振などの症状を示すこともあります。胃潰瘍により出血した血液を嘔吐することを吐血、そのまま血液が便として出てくることを下血といいます。吐血では、どす黒い血がみられ、下血の場合は、黒いタールのような便(タール便、黒色便)がみられます。
十二指腸潰瘍では、空腹時に腹痛が起こり、食事をとると治まることが多いようです。
高齢になると痛みを伴わないこともあり、気がつかないうちに進行する場合がありますので、医師と相談してください。
胃の粘膜は、粘液(防御因子)によって覆われていて、胃液(攻撃因子)が粘膜に直接触れるのを防いでいます。潰瘍は、胃を消化しようとする攻撃因子と、胃を守ろうとする防御因子のバランスがくずれた時に発生します。
胃や十二指腸はストレスとの関係が深い病気ですが、ほかにもいろいろな原因があります。なかでもヘリコバクター・ピロリ菌が重要視されています。
●強い精神的ストレス
・環境の変化(就職や転勤など)
・精神的支えの喪失(離婚や親しい人との別離など)
・肉体的ストレス(大手術、やけど、入院など)
・自尊心の喪失(失業、破産など)
● 性格的要素
・細かいことが気になる、几帳面、完璧主義など
● 飲酒
・強いアルコールは、胃壁の粘液を洗い流し、粘膜を傷つける
● たばこ
・ニコチンは、胃液の分泌を促して、胃壁を荒らす
● 暴飲暴食、不規則な生活
・胃を疲れさせる
● 薬物
・非ステロイド系抗炎症鎮痛薬は粘膜を刺激する
● ヘリコバクター・ピロリ
ピロリ菌は、胃の粘液中に生息している細菌で、アンモニアや毒素を作り出して粘膜を傷つけ、炎症を起こさせやすくします。また、胃壁を守っている粘液を減らして、胃酸の攻撃を受けやすくします。
ピロリ菌は食べ物から感染(経口感染)すると考えられています。日本人では衛生環境が不十分であった時代に生まれた人の感染率が高いといわれています。しかし、ピロリ菌に感染していても、必ずしも炎症や潰瘍を起こすとは限らず、発病するのはごく一部の人です。
※ヘリコバクター・ピロリ菌に対しては、数種類の抗生剤を組み合わせた「除菌療法」が行われます。2000年11月より、除菌療法が保険適用になりました。除菌については医師とよく相談してください。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、ストレスや性格などの影響を受けやすいものです。規則正しい生活や禁煙など、できることから改善を心がけましょう。
医学の進歩により、薬物療法が進み効果をあげてきました。しかし、症状が治まっても再発する恐れがありますので、独自の判断で薬の量を減らしたり途中で服用をやめたりせずに、治癒するまで医師の指導にしたがうようにしてください。
おおさか循環器内科・生活習慣病クリニック
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