春、桜前線よりいち早く訪れるスギ花粉前線。花粉症の中でもスギ花粉症は、現在、日本の国民病と言われるくらいの猛威で、お正月が明けて間もないのに、早くも悩まされている人達が増えています。症状が出ると、外出もままならず、日常生活、仕事などにも支障をきたします。
寒い冬が終わり、やっとコートを脱いで春の日差しの中を歩ける季節になったのに、花粉症の人にとっては、メガネやマスクをしなければ外を歩けない憂うつな季節の訪れに感じてしまいます。せっかくのお花見シーズンも、開花情報よりまずは花粉情報となれば、まさにお花見も吹っ飛ばしてしまうほどの花粉症です。
スギやヒノキなどの花粉が原因となってくしゃみ、鼻みずなどのアレルギー症状が起きますが、比較的短期間で成長するスギの植林が、第二次世界大戦後にさかんに行われました。花粉を大量につけるようになる樹齢30年をこえるスギが急速に増えた1970年以降、スギ花粉症患者も急増しています。
さらに、地球温暖化の影響も受け、飛散花粉が年々増加するとともに、患者数も増える一方です。
かつては、20~30歳代の成人の疾患と考えられていましたが、現在は、発症が若年化し、特に小児の花粉症が増えて問題になっています。花粉症は、一度かかると毎年症状が出る上に自然に治癒しにくいので、低年齢から中高年まで広範囲に広がっています。
すべての花粉が花粉症の原因となりますが、中でも「スギ花粉症」、「イネ科花粉症」、「ブタクサ花粉症」は3大花粉症と言われています。特にスギ、ヒノキ、シラカンバ、ハンノキ、ヨモギなどは飛散花粉数が著しく増加しています。
植物によって花粉の飛散時期が違います。スギ花粉症は、かぜなどの感冒流行期とオーバーラップしますので、正しい治療をする必要があります。また、原因となる花粉の種類によっては、夏や秋に発症することもあります。
花粉が飛ぶ前から予防的に薬を服用すると症状を抑える高い効果が期待できますが、その反面、症状が進んでしまうとつらい喘息症状まで出ることがあります。花粉症は、予防と早めの治療が大切です。
花粉症か否かの診断は、血液検査や皮膚テストなどで簡単に検査ができますので、自己判断せずに早めに医療機関に行き医師に相談しましょう。
主な症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりですが、眼の症状(かゆみ、涙、充血)も含めたものが、もっともよく見られます。
その他にも、咳がでたり、のどや皮膚のかゆみ、頭重感、頭痛、倦怠感、不眠、下痢、熱っぽい感じ、からだや顔のほてり、イライラ感など、からだの各部位にきわめて多くの症状がおこります。そのため患者さんの中には、肉体的にも精神的にも意欲が低下してQOL(日常生活の質)が大きく損なわれてしまうことがあります。
●部位別症状
・鼻:くしゃみ、鼻水、鼻づまり、かゆみ、嗅覚障害、鼻内乾燥感、鼻出血
・眼:異物感、結膜の充血、流涙、めやに、まぶたの腫れ
・口腔:かゆみ、浮腫
・のど:かゆみ、痛み、異常感、乾燥感、から咳
・下気道:咳、痰、ゼイゼイする
・皮膚:かゆみ、皮膚炎、じんましんのような疾患
・その他:耳のかゆみ、頭重感、頭痛、発熱、熱感
花粉回避が第1です。飛散量が大量なスギ花粉を浴びないようにするのは大変難しいことですが、花粉飛散情報を参考にして、風の強い日は外出を避けるとか、外出の際には、マスクや帽子、メガネ(ゴーグル)などの花粉グッズを使用します。帰宅したら、手洗い、うがい、眼や顔を洗いましょう。
花粉が付着しにくい目の詰んだ衣類などを身につけましょう。家に入るときは衣類を払って、花粉を家の中に持ち込まないようにしましょう。
花粉は気温の高い午後に多く飛びます。家事はなるべく午前中にすませるとか、布団は外に干さない、タオルなどの洗濯物は乾燥機にかけるなどの工夫をするといいでしょう。また、部屋はこまめに掃除したいものですが、掃除機では排気で花粉が舞い上がってしまいますので、拭き掃除にしましょう。
普段から、免疫力がつくような健康づくりに心がけましょう。運動は、室内でできるものがおすすめです。室内プールは、湿気があり、泳がなくても、水中ウォーキングで充分に運動になります。
この時期の食事は、なるべく香辛料などの刺激の強いものは避けるようにしましょう。症状により、食欲が出なかったり、気分的にも憂うつになりがちですがひとりで悩まず、それぞれの症状に合わせて、耳鼻科、眼科、皮膚科、内科などの専門医に相談して、少しでも楽にこの季節を乗り切るようにしましょう。
おおさか循環器内科・生活習慣病クリニック
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